保険のきく白内障手術と自由診療の違いとは?【医師監修】

2025/07/17

保険のきく白内障手術と自由診療の違いとは?【医師監修】

はじめに

白内障と診断され、手術を検討する際、多くの方が悩むのが、「どんなレンズで手術を受ければいいのか」という選択です。費用だけでなく、見え方やライフスタイルへの影響も大きく異なるため、どんなレンズを選ぶべきか判断に迷う方も少なくありません。
この記事では、基本的なレンズの違いから、使用されるレンズの種類・見え方・費用の目安までを、眼科専門医の視点からわかりやすく解説します。

保険診療と自由診療の違い

区分 保険診療 自由診療
費用 健康保険適用(1〜3割負担) 全額自己負担
レンズ種類 単焦点レンズ 多焦点レンズ・EDOFレンズなど
対象 白内障   白内障+老眼・近視・遠視・乱視の改善を希望
特徴 必要最小限の視力回復 見え方の質・QOLの向上、利便性を重視

使用されるレンズの違い

保険適用:単焦点眼内レンズ
単焦点レンズは、その名の通り1つの距離にしか焦点が合わないレンズになります。見たい距離の希望に沿って近くまたは遠くのいずれか一方にピントを合わせますが、ピントが合わない距離を見るためには老眼鏡や眼鏡が必要となります。1つの距離にしか焦点が合わないため、複数の眼鏡を使い分ける必要があります。

メリット:
・健康保険が適用されるため費用の負担を軽減できる
・レンズの構造がシンプルなため、ハロー・グレアなどの夜間光視症のリスクが少ない
・コントラスト感度への影響が少ない

デメリット:
・生活の中で必ず眼鏡が必要になる
・老眼の改善には対応できない
・後から多焦点レンズに入れ替えるのは高いリスクが生じる

自由診療:多焦点眼内レンズ
・多焦点眼内レンズは、遠方・中間・近方と複数の距離にピントを合わせることができる
・1度の手術で、白内障と同時に老眼、近視、遠視乱視を改善できる
1度の手術で、複数の見え方の悩みを改善できるため、白内障に治療だけでなく、老眼の治療にも使用することができます。多焦点レンズには、様々な種類がありますので、目の状態や見え方に希望に合ったレンズを選択することができる点も、注目されている1つの理由ではないかと思います。冨田実アイクリニック銀座では、2焦点・3焦点・4焦点・5焦点など豊富なラインナップを揃えており、患者様のライフスタイルや希望に応じて最適なレンズをご提案しています。

メリット:
・老眼鏡や眼鏡への依存度が低く、裸眼での生活が期待できる。
・近方、中間、遠方の複数距離に対応可能
・乱視にも対応したレンズを選択可能
・レンズの選択肢が非常に豊富で、自分に合った見え方を追求できる

デメリット:
・保険が適用されない(片眼30〜80万円程度)
・ハロー・グレアなどの夜間光視症のリスクがある
※最近は、夜間光視症のリスクを低減した多焦点レンズも登場しています。
・日常生活でスマホやパソコンの使用頻度が高い現代社会に適している。
・若々しい視界を維持することが期待できる。
・趣味やスポーツを裸眼で楽しむことができる
・中間重視や遠方重視など、生活スタイルに合った適切なレンズ選びが必要です

手術費用の目安

保険診療(単焦点レンズ使用):約5〜6万円(3割負担・片眼)

自由診療(多焦点レンズ使用):約30〜80万円(片眼)※レンズの種類や施設によって異なります

レーザー白内障手術費用(最新の白内障手術手技):220,000円(税込)/片眼
※手術の精度が求められる多焦点レンズを用いた白内障手術に適している。

医師のコメント

「“どちらが良いか”ではなく、“自分にとって最適かどうか”を基準に選んでいただくと良いでしょう。当院では、患者様の見え方の希望や生活スタイルを伺った上で、目の状態に適した最適なレンズをご提案しています。最新の多焦点レンズを用いることで、従来のデメリットを感じにくい治療も可能になっています。」

選択時に考慮すべきポイント

日常的に眼鏡や老眼鏡を使いたくないか

パソコン・スマホなど近距離作業が多いか

夜間運転の頻度

治療にかけられる予算

医師とのカウンセリングで希望を明確に伝えられるか

よくある質問(FAQ)

Q1. 保険診療で老眼も治せますか?
A. 保険診療の対象となる単焦点レンズでは老眼の改善はできません。老眼を改善したい場合は多焦点レンズ(自由診療)で白内障手術を受ける必要があります。

Q2. レンズはあとから変更できますか?
A. 基本的には一度挿入したレンズを交換するのはリスクが高いため推奨されません。そのため、最初の手術でどういったレンズを選択するかが非常に重要です。当院では、多焦点レンズをメインで扱っていますが、単焦点レンズで手術を受けられた方から、多焦点レンズに変更したいという相談が非常に多く寄せられています。

Q3. 自由診療でも医師の腕は同じですか?
A. 自由診療になる多焦点レンズによる白内障手術では、医師の技術が手術後の結果に大きく影響します。手術手技自体に大きな違いはありませんが、多焦点レンズによる白内障手術は求められる手術手技の精度が単焦点レンズとは格段に違います。使用するレンズの種類によっても求められる技術に違いがありますので、手術設備、手術環境、執刀医の経験・知識が手術の結果を左右すると言っても過言ではありません。

まとめ

白内障手術には、保険診療と自由診療の選択肢があります。それぞれにメリット・デメリットがありますが、冨田実アイクリニック銀座では、多焦点レンズによる白内障手術をメインで行っています。自由診療になりますが、生活の利便性、お仕事、趣味、スポーツなど若々しく楽しみたいという方から、多くのご相談を頂戴しています。当院では、99%以上の方が多焦点レンズを選ばれていますので、自分に合ったレンズ選びができるように、レンズの種類も豊富に取り揃えています。まずは、詳しい検査を受けていただき、手術の可否や適したレンズ、レンズの度数などを確認し、専門医とのカウンセリングで希望をお聞かせください。

監修者

冨田実
冨田実
冨田実アイクリニック銀座院長
医療法人社団 実直会 理事長
医学博士/日本眼科学会認定眼科専門医
アメリカ眼科学会役員
温州医科大学眼科 眼科客員教授
河北省医科大学 眼科客員教授