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白内障手術を受ける前の注意事項

白内障は、手術で治療できるようになりましたが、放置すると失明に至ることがあります。世界では、白内障が失明原因の第1位にランクされており、発展途上国などの医療体制が不十分な地域で手術が受けられないことが原因となっています。日本での白内障による失明率は、約3%と言われていますが、これも手術を受けないで放置したことが主な原因となっていますので、適切な時期に手術を受けないと取り返しのつかないことになります。白内障を放置すると、水晶体が硬くなって手術の難易度が高くなり、それだけ合併症のリスクも高くなります。また、水晶体の濁りが強くなると正確な検査ができなくなりますので、眼内レンズの度数計算ができなくなり、視力を出すことが難しくなります。他にも、水晶体が溶けだす水晶体融解や緑内障、ぶどう膜炎などを併発することもありますので、目に違和感を感じた時は眼科を受診して眼の状態を確認しておくことが大切です。白内障の進行状態を把握することで、適切な時期に手術を検討しましょう。
<白内障を放置した場合の主なリスク>
  • ・ 水晶体の濁りが強くなると正確な検査データが取得できず、手術後の視力に影響を及ぼす。
  • ・ 水晶体が硬くなって手術の難易度が上がり、合併症のリスクも高くなる。
  • ・ 通常の手術手技では対応できなくなり、水晶体を全摘出する術式でしか対応できなくなる。
  • ・ 眼内レンズの選択肢が限られる。(もしくは眼内レンズを挿入できなくなる)
  • ・ ぶどう膜炎や失明の可能性がある緑内障などを併発する恐れがある。
  • ・ 水晶体が溶けだす「水晶体融解」が起こる恐れがある。

感染症の予防対策

感染症予防のために3日前から抗菌薬の点眼を開始します

白内障手術だけではなく、どんな手術においても感染症は最も怖い合併症になります。特に眼は栄養が豊富なため、細菌が繁殖しやすい器官で、感染症の予防には細心の注意を払う必要があります。手術の前から眼の中の細菌を減らすために、抗菌薬を処方して手術の3日前からの点眼を開始していただきます。また、手術後も感染症予防や炎症を軽減するお薬を処方しますので、使用法を守って必ず点眼・服用してください。

手術室はクリーンルームを完備しています

当院では、感染症を予防するために、手術室はクリーンルームを完備しています。すべての手術を、外科的手術を行うことができるレベルにまで清潔環境を整えた空間で行いますので、安心して手術を受けていただけます。また、手術で使用する器具も滅菌・消毒を徹底し、可能なものは使い捨てができるディスポーザブルの器具を採用するなど、感染症の予防に取り組んでいます。

手術後の経過観察

白内障手術は非常に繊細な手術であることは理解いただいたと思いますが、手術後の経過観察も手術と同じように重要なものになります。手術で良く見えるようになると、手術後の通院を軽視する方がいらっしゃいますが、手術後の経過観察も含めて1つの手術であるとお考えいただければと思います。40歳を過ぎると眼にも老化現象が始まります。白内障と老眼は眼の老化現象の代表的な症状になりますが、他の眼の病気にも掛かり易くなってきます。特に近視の強い方は注意が必要ですが、白内障や老眼以外の病気を早期発見するためにも、きちんと経過観察を受けていただき、その後も定期的に目の状態を確認されることをお勧めします。毎年、健康診断を受けられている方が多いと思いますが、眼は物を見るという大切な器官になります。当院では眼の健康診断である「アイドック」も行っていますので是非ご活用ください。

<手術後の経過観察>
  • ※手術後の経過には個人差がありますので、上記以外にも受診いただく場合があります。医師の指示に従って受診してください。
  • ※加齢による眼の老化現象は白内障だけではないので、これ以降も定期的な眼科検診をお勧めします。

手術後の注意事項

白内障手術は、比較的ポピュラーな手術というイメージがありますが、眼の手術である以上は手術による合併症を予防するために注意しなければならない点があります。手術手技の確立によって日帰りでの手術が可能となり、患者様の利便性が向上したことは大きな進歩である反面、手術後の管理については患者様にも注意していただかなければなりません。特に手術直後は、感染症などのリスクが高くなるため、日常生活での注意事項を守ってお過ごしください。また、新しい見え方に慣れていただくために、明るい所で両眼で物を見るように心掛けてください。

<片目ずつ見え方を比較することを避けてください>
人間の目は、手術をする前から左右の見え方は異なります。健康診断などで受ける視力検査でも、視力や乱視の度数に左右差があるように、片目ずつで見え方を比較すれば、その見え方には差があります。元々の見え方に左右差がありますので、白内障手術後も左右差を完全になくすことは出来ません。左右の見え方が違っても、脳が画像処理をして自然と物を認識していますが、手術後は今までとは違った見え方になるため、左右差を比較することは新しい見え方への順応を邪魔する原因になります。そのため、両眼で物を見る習慣が大切になりますので、左右の見え方を比較する行為は、新しい見え方に順応する妨げとなります。元々、手術前から左右差があることを認識してください。
■保護用サングラス
手術後は、保護用のサングラスをご使用いただきます。レンズの周囲にカバーがありますので、風やホコリから眼を守ってくれます。また、UVカットも施されていますので、手術後1週間は常に装用をお願いします。(ご自宅でも装用が必要です)
■保護用眼帯
寝ている間は無意識に目を擦ってしまう恐れがありますので、就寝時には保護用眼帯を装着してください。手術後1週間は就寝時にご使用いただきます。

日常生活での注意事項

  手術当日 手術翌日 手術3日目以降 手術1週間以降
食事 来院2時間前から絶食 制限はありません(刺激物は控えてください)
アルコール × × ×
喫煙 × ×
テレビ・読書 × 目が疲れない程度
PC・メール × 目が疲れない程度
運転 × × 視力が完全に回復してから可
仕事 × × デスクワーク◯ 力仕事◯
運動 × × × 軽い運動は1週間後から
激しい運動は1ヶ月後から
※下記参照
市販薬の使用 風邪などで服用されている内服薬は手術当日でも服用可能です。
病院から処方されているお薬については診察時にご確認ください。
海外旅行 × × × 診察で問題が無ければ
1ヶ月後から可
入浴・洗顔 ・入浴、洗髪、洗顔は不可 ・顔は濡れたタオルで拭く程度にしてください ・肩から下のシャワーは可能 診察で問題がなければ理容室やご家族に介助された仰向けの状態での洗髪は可能です。 診察で問題がなければ入浴、洗髪、洗顔は可
サウナ、温泉は1ヶ月後から可
・手術後1週間は、絶対に眼に水が入らないように気を付けてください
・手術後1ヶ月は、なるべく眼をこすらないように注意してください
化粧 × × 眼の周り以外は可 アイメイク可
上記は、あくまでも一般的な注意事項になりますので、経過によって個別に指示をさせていただく場合があります。また、手術後の経過には個人差がありますので心配な点がありましたら、診察の際にご相談ください。

白内障手術のリスクについて

白内障手術は、最も多く行われている眼科手術ですが、手術である以上はリスクがゼロという訳ではありません。医療技術の進歩によって白内障手術も日帰りで行えるようになり、合併症のリスクも大幅に減少していますが、患者様によって白内障の進行状態も違いますし、眼の状態も異なりますので、生じやすいリスクも症例によって様々です。また、手術前の検査や診察で目の中の状態を100%把握することは不可能なため、手術を開始してみないと解らない部分もあります。合併症は必ず起こるものではないので過度に心配することはありませんが、稀なケースであっても下記のような合併症が起こる可能性がありますので、手術を受けていただく上でリスクについても知っておくことが大切です。

監修者

冨田実
冨田実
冨田実アイクリニック銀座院長
医療法人社団 実直会 理事長
医学博士/日本眼科学会認定眼科専門医
アメリカ眼科学会役員
温州医科大学眼科 眼科客員教授
河北省医科大学 眼科客員教授