白内障の原因は加齢だけじゃない?|白内障の様々な原因について解説【医師監修】

2025/10/04

白内障の原因は加齢だけじゃない?|白内障の様々な原因について解説

はじめに― 白内障は「年齢のせい」だけではない

白内障と聞くと、「年を取ったら誰でもなるもの」というイメージをお持ちの方が多いかもしれません。実際、白内障は加齢によって生じるケースが最も多く、早い方で40代から発症し、60代以降ではかなりの割合で白内障が認められるようになります。しかし、白内障の原因は加齢だけに限られないことをご存知でしょうか。

先天性や外傷性、薬剤、全身疾患、生活習慣病など、白内障の発症や進行には多くの要因が関係しています。特に「まだ若いから大丈夫」と思っている40代や50代の方でも、日常生活の中に白内障のリスクを抱えている可能性があります。また、近年では白内障の発症年齢が若年化している傾向があり、子供の頃からスマホやパソコンが必要不可欠となっている現代社会の影響も関係しているという指摘もあります。

本記事では、加齢以外の白内障の原因について詳しく解説するとともに、症状が進行した際の治療法や、冨田実アイクリニック銀座で行っている先進的な検査、診断、手術の体制についても紹介します。

白内障とは? ― 視界を曇らせる水晶体の濁り

白内障は、目の中にある「水晶体」と呼ばれるレンズが濁る病気です。透明な水晶体が加齢やその他の原因で変性し、光の通りが妨げられることで「視界のかすみ」「まぶしく感じる」「視力の低下」といった症状を実感するようになります。白内障が、さらに進行すると水晶体の濁りが強くなってきますので、ほとんど物が見えないという状態になることもあります。

            

主な症状

  • 視界が白っぽくかすんで見える
  • 光がまぶしい(羞明)
  • 色がくすんで見える
  • メガネを替えても視力が改善しない
  • 薄暗い所でものが見づらい
  • 夜間の運転がしづらい

白内障は進行性の病気であり、自然に治ることはありませんので、治療法は手術しかありません。進行すると手術の難易度や手術のリスクが高くなりますので、適切な時期に手術を検討することが重要です。
白内障の原因は加齢だけじゃない
以下では、加齢以外の白内障の主な原因を5つのカテゴリーに分けて解説します。

1.外傷による白内障

目を強く打ったり、鋭利なものが眼球に刺さったりした場合、水晶体が損傷を受け、白内障が発症することがあります。これを外傷性白内障といい、事故やスポーツ外傷など比較的若い世代にも発生するリスクがあります。

特徴

  • 衝撃を受けた方の眼にのみ発症するケースが多い
  • 急速に進行することがある
  • 手術が難しくなることもあるため、早めに手術を済ませることが重要
  • メガネを替えても視力が改善しない
  • 稀に、時間が経過してから発症することもある

2.薬物性白内障

長期間にわたるステロイド薬の使用が、白内障の原因となることがあります。ステロイドを使用している方のすべてが白内障を発症するわけではありませんが、ステロイド薬には内服薬、吸入薬、塗り薬、目薬などさまざまな種類があり、特に白内障になるリスクが高いのは、全身疾患の治療に使用される内服薬と喘息などで使用する吸入薬の2つです。
そのため、ステロイドを服用、吸入するような方は必ず定期的に眼科を受診することが大切です。また、急に服用を中止すると、体の中のステロイドホルモンが不足し、倦怠感、吐き気、頭痛、血圧低下などの症状が見られることがありますので、医師と相談しながら、バランスの取れた治療が必要です。

主な薬剤

  • ステロイド(内服・点眼・吸入)
  • 抗精神病薬の一部
  • 利尿薬(例:フロセミド)
  • メガネを替えても視力が改善しない
  • 血圧治療薬の長期使用

主な薬剤

  • ステロイドの使用を中止しても白内障が改善されるわけではない。
  • 急速に進行することがある
  • 利尿薬(例:フロセミド)
  • 水晶体の後部に皿状の濁りが見られるので特定が容易である
  • 発症から数ヶ月から1年程度で手術が必要になるケースが多い

3.全身性疾患との関連

いくつかの全身疾患が、白内障の発症に関連していることが知られています。よく知られているのは糖尿病とアトピー性皮膚炎で、糖尿病性白内障やアトピー性白内障と呼ばれることもあるほどです。

糖尿病

糖尿病の方は、ソルビトールという糖や糖化蛋白が水晶体の中に蓄積しやすく、それが原因で白内障になりやすいことが知られています。糖尿病が原因の白内障は、皮質白内障または後嚢下白内障が多く見られ、進行スピードが速いことも特徴の一つです。糖尿病網膜症と併発することも多く、視力に大きな影響を及ぼします。

アトピー性皮膚炎

重度のアトピー患者は、アトピー性皮膚炎を起因とする若年性白内障を発症することがあります。まぶたを強くこすったり叩いたりといった目への刺激、アトピー性皮膚炎の治療に使用するステロイドの使用もリスク要因と言われていますが、現代の医学をもってしが弱っていたり、白内障の進行が早いため成熟白内障や前嚢下白内障で前嚢癒着も伴っていたりと手術のリスクが高いことも特徴です。

併発白内障

併発白内障は、目の病気が原因となって起こる白内障で,ブドウ膜炎,網膜剥離,網膜色素変性症など起因する目の病気はひとつではありません。併発白内障は、長期にわたるブドウ膜炎、網膜剥離などの重篤な眼内疾患にともなう水晶体の栄養障害が原因とされています。また、遺伝的な網膜色素変性症、強度近視などが原因で起こることもあります。

4.放射線の影響

多量の放射能被爆は、白内障を発症させるリスクがあります。この放射線白内障は、マスコミや政府ではあまり大々的に報道しませんが、放射能被曝の影響を中々認めようとしない国連であっても、「高い線量を被ばくした群において白内障の発症率が上昇する」と関係性を認めています。福島原発事故後にも眼科関連の患者数が増加したというデータもあるようです。

5.紫外線の影響

水晶体は、紫外線を吸収してダメージを防ぐバリアの役割を果たしています。しかし、長期間にわたる紫外線の曝露は、このバリア機能を低下させ、水晶体のタンパク質が変性することで白内障を引き起こす原因になります。また、紫外線には細胞を酸化させる働きがありますので、紫外線の影響は老化を促進させるリスクに繋がります。この紫外線による影響は、屋外での仕事や紫外線が強い環境で生活している人々にとっては特に重要です。紫外線量の多い沖縄は、日本でも白内障になる年齢が低く、患者数も多いことから、日常生活で長期的に紫外線を浴びることが、白内障の発症にも関係していることが伺えます。

紫外線対策

  • UVカットのサングラスや帽子の着用
  • 曇りの日も紫外線対策を怠らない
  • 飲む日焼け止めの活用

5.先天性白内障

稀に、生まれつき水晶体が濁っている先天性白内障があります。先天性白内障は、新生児、乳幼児、学吸期までに発症する白内障のことをいいますが、成長とともに進行する白内障は発達白内障とも言います。先天性白内障の原因は、遺伝によるものと、母親が妊娠中にかかった風疹によるものが知られていますが、常染色体優性遺伝、染色体異常、子宮内感染、トキソプラズマ、サイトメガロウイルスなどのほか、さまざまな全身疾患・症候群が原因となっているものもあります。

   

  

白内障の治療方法 ― 根本的な治療は手術しかありません

残念ながら、濁ってしまった水晶体をクリアに戻すお薬は存在しないため、白内障の根本的な治療法は白内障手術しかありません。白内障手術は、濁った水晶体を取り除き、人工の眼内レンズと置き換える手術となります。手術手技は確立されていますので、安全性の高い手術ではありますが、わずか2ミリほどの空間で行う手技になりますので、繊細な技術が求められます。

      

冨田実アイクリニック銀座で行う白内障手術の特長

1.フェムトセカンドレーザーによる高精度な白内障手術

冨田実アイクリニック銀座では、フェムトセカンドレーザーを活用したレーザー白内障手術を実施しています。医師の手作業による手術手技に比べて、精度が高く、安全性、安定性が向上しています。特に高い精度が求められる多焦点眼内レンズによる白内障手術に適しており、多焦点眼内レンズの性能を最大限引き出すことができる手術手技として注目されています。

2.多焦点眼内レンズの選択が可能

患者様のライフスタイルに応じて、多焦点眼内レンズや、乱視矯正対応のプレミアムレンズの選択が可能です。冨田実アイクリニック銀座では、30種類以上の多焦点眼内レンズを取り揃えていますので、目の状態、見え方の希望、お仕事や趣味など生活スタイルに合わせたレンズを選択することも可能。40代~60代の現役世代にとっては、術後のメガネ依存度を減らす大きなメリットにもなります。

3.最新機器による精密診断

手術ガイダンスシステム、OCT(光干渉断層計)、眼軸長測定装置、前眼部三次元解析など、複数の精密検査機器を活用し、目の状態を正確に把握したうえで手術計画を立案します。

レンズの選び方|単焦点と多焦点、どちらを選ぶ?

白内障手術では、水晶体の代わりに挿入する人工レンズ(眼内レンズ)を選ぶ必要があります。大きく区分けすると、1つの距離にしか焦点が合わない単焦点眼内レンズと複数の距離に焦点が合う多焦点眼内レンズがあります。単焦点眼内レンズは遠くもしくは近くのどちらかにしか焦点が合いませんので、手術後は老眼鏡(または眼鏡)が必ず必要です。
多焦点眼内レンズは、遠方・中間・近方と複数の距離に焦点が合いますので、白内障と同時に老眼も治療できるメリットがあります。手術後は老眼鏡への依存度が軽減されますので、若々しい視界が期待できます。

種類 特長 保険適用 老眼鏡(メガネ)の必要性
単焦点レンズ 1つの距離にしか焦点が合わない ⚪︎ 老眼鏡(メガネ)が必要になる
多焦点レンズ 遠方・中間・近方の視力に対応 ×(自由診療) 老眼鏡(メガネ)への依存度が低い

冨田実アイクリニック銀座では、患者の要望や生活スタイルに応じて最適なレンズを提案しています。

まとめ ― 白内障の原因を正しく知り、早めの対処を

白内障は、加齢性の白内障が大半を占めますが、他にも外傷・薬剤・全身疾患・紫外線など、さまざまな要因があることをご理解いただけたと思います。早い方では40代から白内障が認められる場合がありますが、50代、60代と年を重ねるごとに白内障が認められる方が増えてきます。また、選択するレンズによって手術後の生活に違いがありますので、目の状態や見え方の希望に合ったレンズを選択することが重要です。「まだ若いから白内障ではない」と思い込まず、見え方に違和感を覚えたときは早めの受診をおすすめします。

冨田実アイクリニック銀座では、正確な診断と安全な白内障手術、そして最適な眼内レンズの選択により、患者の視機能と生活の質(QOL)を最大限にサポートしています。

視界の不調を感じたら、まずはお気軽にご相談ください。適切な対応が、将来の見え方を守る第一歩になります。

監修者

冨田実
冨田実
冨田実アイクリニック銀座院長
医療法人社団 実直会 理事長
医学博士/日本眼科学会認定眼科専門医
アメリカ眼科学会役員
温州医科大学眼科 眼科客員教授
河北省医科大学 眼科客員教授