白内障手術を先延ばしにするとどうなる?|手術のタイミングとリスクを解説【医師監修】

2025/07/01

白内障手術を先延ばしにするとどうなる?|手術のタイミングとリスクを解説【医師監修】

はじめに

白内障と診断されたけれど、「まだ生活にそこまで支障がない」「手術は怖いからもう少し待ちたい」と先延ばしにしている方は少なくありません。しかし、白内障は進行性の病気であり、放置することで手術の難易度やリスクが高まるケースがあります。

この記事では、白内障手術を先延ばしにすることの影響や、適切なタイミングを見極めるためのポイントについて、眼科専門医の見解も交えて解説します。

白内障は進行する病気です

白内障は、水晶体が徐々に濁っていくことで視力が低下する病気です。進行スピードには個人差がありますが、放っておくと視界は次第にかすみ、視力が低下し、明暗の感覚や色の識別能力も低下していきます。

医師のコメント:
「白内障は“放っておいても大丈夫”というものではありません。特に高齢の方では、見えにくさが原因で転倒や事故に繋がるリスクもあります。視力が落ちたことで家族との会話や外出の機会が減り、生活の質が低下することもあります。」

手術を先延ばしにすることのリスク

  1. 手術が難しくなる可能性
    白内障が進行し、水晶体が硬くなりすぎると、通常の手術手技では対応できなくなり、所要時間も長くなり目の負担が大きくなります。
  2. 手術の合併症リスクが上がる
    過熟白内障になると、眼内圧の上昇により緑内障やぶどう膜炎を引き起こす可能性があります。
  3. 日常生活への影響が深刻化
    • 車の運転免許が更新できなくなる
    • 読書・テレビ視聴に支障が出る
    • 外出や趣味を控えるようになる
    • 転倒事故による骨折リスクが増す
医師の補足:
「白内障の進行で最も見逃されやすいのが、“自分ではまだ見えているつもり”という感覚です。また、老眼と白内障が重なる時期もあるため、老眼だと思い込んでいるケースも少なくありません。」

手術の適切なタイミングとは?

視力の数値だけで手術の是非を判断するのではなく、「自覚症状の有無」や「生活に支障が出ているか」が大きな目安になります。

手術を検討すべきサイン:

  • 明るい場所でもまぶしくて見えづらい
  • 運転時に対向車のライトが眩しい
  • メガネの度を変えても視力が改善しない
  • 片目で見るとぼやける、視界が白っぽく感じる
医師のアドバイス:
「白内障手術のタイミングは年齢で決めるものではなく、日常生活に支障が出ていれば手術を検討する時期です。」

手術で使用するレンズ性能の向上と手術のタイミング

現在では多焦点眼内レンズの登場により、白内障手術と同時に老眼の改善も可能になっています。レンズの素材や製法も進化し、耐久性が高まり、寿命も飛躍的に伸びています。

昔はレンズ寿命の関係から手術を遅らせる考えが主流でしたが、今は早期手術が推奨される時代になっています。

医師のアドバイス:
「加齢とともに手術リスクは高まります。高齢になるほど術後の見え方に慣れるのに時間がかかるため、レンズの進化によってリスクの低いうちに早めに手術を受けることが重要です。」

よくある質問(FAQ)

Q1. 手術を希望してもギリギリまで待つように指示されました
A. 現在のレンズは長期的に機能するため、昔のように手術をギリギリまで待つ必要はありません。不便を感じたら、検討の時期です。

Q2. 高齢で手術に不安があります
A. 白内障手術は日帰り・局所麻酔で行われ、全身状態を確認のうえで安全に実施されます。ご高齢でも多くの方が手術を受けられています。

Q3. 見えづらくなっているのに、手術はまだ早いと言われました
A. 不便を感じた時が、手術を検討すべきタイミングです。医師の判断と自覚症状の両方を考慮して決定します。

Q4. 白内障は軽度でも、老眼で苦労しています。手術で改善できますか?
A. はい。多焦点眼内レンズを使用すれば、白内障が軽度でも老眼の改善を目的に手術を受けることが可能です。

まとめ

白内障手術を先延ばしにすることで、手術の難易度やリスクが上がるだけでなく、生活の質も低下してしまいます。

「まだ大丈夫」と思わず、生活の中で不便さを感じたら、それが“手術のサイン”です。レンズの進化により、手術を早く受けることのメリットも大きくなっています。

視界がクリアになることで、日常生活の快適さは大きく変わります。白内障手術は、その第一歩となる選択です。