白内障は自然に治ることがある?|白内障の自然治癒と進行について【医師監修】
白内障は自然に治ることがある?|白内障の自然治癒と進行について【医師監修】
はじめに
「白内障と診断されたけど、まだ手術は早い?」「もしかして自然に治ることもある?」――こうした疑問を抱えている方は少なくありません。本記事では、白内障が自然に治癒することはあるのか、そして進行の特徴や放置した場合のリスクについて、眼科専門医の解説も交えて詳しくご紹介します。
白内障とはどんな病気?
白内障とは、目の中の「水晶体」が加齢やその他の要因によって白く濁ってしまう病気です。水晶体はカメラで言うレンズの役割を担い、光を屈折させてピントを合わせる重要な組織です。
水晶体が濁ると光が正しく網膜に届かず、視界がかすんだり、ぼやけたり、まぶしさを強く感じたりするようになります。
白内障は自然に治ることがある?
結論から言えば、白内障が自然に治癒することはありません。一度濁ってしまった水晶体は、目薬や自然治癒で透明に戻ることはありませんので、白内障を改善できる方法は手術しかありません。
一時的に視力が回復するケースも?
まれに「最近、近くがよく見えるようになった」と感じることがあります。これは白内障の進行によって水晶体が膨らむことで一時的に近くが見えやすくなる現象(通称「第二の視力」)であり、改善ではなく悪化の一過程です。
「一時的に視力が回復したように見えても、それは白内障の進行による屈折変化です。むしろ見え方が変わってきた時こそ、眼科を受診すべきサインです。」
点眼薬で白内障は治せる?
市販や処方される白内障用の点眼薬(ピレノキシン、グルタチオンなど)は、進行をわずかに遅らせる可能性はありますが、治癒させるものではありません。
よく使われる点眼薬の例:
- ピレノキシン:水晶体蛋白の変性を抑制する作用
- グルタチオン:抗酸化物質としての役割
「点眼薬の効果には個人差もありますので、あまり期待しすぎないことが大切です。進行を緩やかにする目的で使われることはありますが、根本治療ではありませんので、濁った水晶体をクリアに戻すこともできません。」
白内障を放置するとどうなる?
- 日常生活への支障(運転、読書、階段の昇降など)
- 転倒リスクの増加
- 視力低下による社会的孤立
- 手術の難易度が上がる(水晶体の硬化が進行)
- 他の眼疾患との併発(緑内障やブドウ膜炎など)
白内障は早期発見・早期対応がカギ
白内障は命に関わる病気ではありませんが、世界的にみると失明原因の第1位にランクされています。日本では失明率は約3%と低いものの、その多くは白内障を放置したことが主な要因です。
白内障と診断されたら、定期的に検査を受け、水晶体の状態をモニタリングしながら、適切な時期に手術を受けることが重要です。
セルフチェック項目:
- 最近、まぶしさを強く感じる
- 視界が白くかすむことがある
- メガネを新調しても見えづらさが改善しない
- 色がくすんで見えるようになった
まとめ
白内障は自然に治癒する病気ではありませんが、適切なタイミングでの眼科受診と治療により、快適な生活を取り戻すことが可能です。
逆に、白内障を放置すると視界が悪化し、手術の難易度が上がるばかりか、他の病気の発見も遅れてしまいます。
見え方の変化を感じたら、まずは眼科専門医の診察を受けましょう。それが将来の視力を守る第一歩です。
「白内障は誰にでも起こりうる加齢性の変化です。早い方では40代から白内障が認められますが、50代、60代と年を重ねるにつれて多くの方に認められるようになります。年齢的に老眼と重なっているケースが多く、眼鏡の度数が合わなくなったからと眼鏡店を訪れた際に、白内障を指摘されたというケースもよく耳にします。当院では、治療のタイミングやレンズの選び方について相談されることが非常に多いです。」