レーザー白内障手術の費用は高い?|コストと得られるメリットを比較【医師監修】

2025/07/23

レーザー白内障手術の費用は高い?|コストと得られるメリットを比較

はじめに

白内障手術を検討する際、「レーザー手術は高額」といった印象を持たれる方も多いかもしれません。実際に費用は一般的な手術より高くなりますが、それに見合う“価値”があるのかが重要です。本記事では、レーザー白内障手術の費用構成、マニュアル手術との違い、そして得られるメリットについて詳しく解説します。

レーザー白内障手術の費用相場

レーザー白内障手術の費用は、保険適用外(自由診療)となるため、医療機関によって差があります。一般的には、片眼あたり20万円〜30万円(税別)程度が相場です。

冨田実アイクリニック銀座では、レーザー白内障手術「Z-CATARACT」を導入しており、手術費用は片眼 220,000円(税込)です。

この費用には、以下のような要素が含まれています:

  • フェムトセカンドレーザーによる高精度の手術
  • リスクが伴う前嚢切開および水晶体分割の工程をすべてレーザーで実施
  • OCT(光干渉断層計)による水晶体のスキャン機能
  • 執刀医による安全管理とポジショニングの調整

マニュアル手術とレーザー手術の比較

前嚢切開

マニュアル手術

・医師の手作業で行うため切開形状にばらつきがある
・わずかな力加減で破嚢のリスクがある
・眼内での作業になるため、術中術後の合併症リスクがある
・医師の技量によって精度や手術時間に格差がある

レーザー手術(Z-CATARACT)

・コンピューター制御されたレーザーで、真円での前嚢切開が可能。
・目の外からアプローチするため、眼内での作業は必要なし
・正確な前嚢切開でレンズの安定性が向上
・医師の技量や力加減に左右されにくい
・どの症例に対しても安定した手技を提供できる

水晶体分割

マニュアル手術

・専用の器具で濁った水晶体を6つ~8つに分割
・わずかな力加減で後嚢破損などのリスクがある
・水晶体嚢に水を注入して水晶体を回転させるため、破嚢のリスクが伴う
・眼内での作業になるため、術中術後の合併症リスクがある
・医師の技量によって精度や手術時間に格差がある

レーザー手術(Z-CATARACT)

・コンピューター制御されたレーザーで、濁った水晶体を6つ~8つに分割
・目の外からアプローチするため、眼内での作業は必要なし
・どの深さまで分割するかをOCT機能で確認できるため、安全性が高い
・医師の技量や力加減に左右されにくい
・どの症例に対しても安定した手技を提供できる

手術の安定性

マニュアル手術

・医師の技量や経験に左右される
・執刀する医師、白内障の状態などに左右される
・手術中の力加減などによって合併症のリスクにも格差が生じる

レーザー手術(Z-CATARACT)

・症例に関わらず常に安定した手術精度を実現
・眼の外からアプローチする手技になるため、リスクの大幅軽減を実現
・眼内での手技よりも、手術によるダメージを軽減できる

合併症リスク

マニュアル手術

・高齢者や既往症ありでは上昇
・進行した白内障は対応できないケースもある
・眼内での手技になるため、相応のリスクが伴う
・医師の技量やわずかな力加減で破嚢や後嚢破損などのリスクが左右されやすい
・破嚢が原因で水晶体が目の中に落下した場合は、大掛かりな硝子体手術が必要になる

レーザー手術(Z-CATARACT)

・前嚢切開および水晶体分割の工程は眼内での手技を必要としない
・前嚢切開の工程において、わずかな力加減で破嚢が起こることがない
・水晶体分割の工程で、後嚢破損などのリスクが少ない
・医師の技量やわずかな力加減に左右されない

費用に見合うメリットとは?

  • 1. 見え方の質が向上する
    手術の精度が高いため、多焦点眼内レンズの性能を十分に引き出すことが可能です。
    多焦点眼内レンズは、複数の距離に焦点を合わせることができますが、その分レンズの構造が複雑かつ精密です。このため、多焦点眼内レンズによる白内障手術には高い精度が求められますので、レーザー白内障手術の正確性、安定性、安全性が大きな役割を果たします。
  • 2. 合併症のリスクが低い
    通常のマニュアル手術では眼内での手技になる前嚢切開や水晶体分割を、目の外側からアプローチすることができます。リスクを伴う手術工程において、眼内での作業を必要としないことは、そのまま合併症のリスク低減に直結します。また、Z-CATARACTに搭載されたOCTにより、水晶体の断面をリアルタイムでスキャンし、執刀医が安全な範囲を設定して手術を行えるため、手術の安全性が格段に向上しています。
  • 3. 難症例にも対応しやすい
    水晶体が硬化している、チン小帯が弱いといった難症例ほど、眼内での手技はリスクを増大させてしまいます。レーザーによる前処理を行うことで、手術の安全性が格段に向上します。
    ただし、レーザー白内障手術でも対応できないレベルまで白内障が進行している場合は、入院手術に対応した医療機関の受診を推奨します。
  • 4. 安定した白内障手術を提供
    レーザー白内障手術は、リスクを伴う手術工程をコンピューター制御されたレーザーで行うことができます。通常のマニュアル手術では、目の中の作業になる前嚢切開や水晶体分割も、目の外から行うことができるため、わずかな力加減に左右されることはありません。
    もちろん、レーザーの操作技術、執刀経験、知識などが必要ですが、医師の技量や力加減に左右されないため、安定した白内障手術を提供することができます。

レーザー手術が特に推奨されるケース

  • 多焦点眼内レンズをご希望の方
  • 見え方の質をできる限り高めたい方
  • 強度の近視・遠視、乱視がある方
  • 白内障の進行による水晶体硬化が見られる方
  • 他院でリスクを指摘された方
  • 安全性を重視される方

まとめ

確かにレーザー白内障手術はマニュアル手術に比べて費用が高めですが、その分「見え方の質」や「手術の安全性・安定性」、「手術の精度」など、目に見えるメリットが多くあります。特に、多焦点眼内レンズを用いた手術では、レーザー技術の有無が術後の生活の快適さに大きく関わります。

冨田実アイクリニック銀座では、多焦点眼内レンズによる白内障手術をメインで行っていますので、症例を問わず安定した精度の高い手術を提供するために、開院当初からレーザー白内障手術システムを導入しています。ご自身の目に一生ものの治療を行うなら、確かな技術と設備を持つ医療機関での治療をご検討ください。

監修者

冨田実
冨田実
冨田実アイクリニック銀座院長
医療法人社団 実直会 理事長
医学博士/日本眼科学会認定眼科専門医
アメリカ眼科学会役員
温州医科大学眼科 眼科客員教授
河北省医科大学 眼科客員教授